桜に菊、茎に落差
id:shinimaiさんの回文オフをみて、
あたしも作ってみたが、上のようなのしかできなかった…
そんなあたしでも参加してよかですか?
とそれだけでは何なので、ちょっとだけ回文について調べてみた。
せっかくだからフランス語の回文について。
フランス語ではpalindromeパランドロームというらしい。
でこんなのを見つけたのだが、
http://kalaia.free.fr/ency/article.php?id_article=32
結構いろいろあって面白い。
何が面白いって、他のヨーロッパ語もそうだが、
フランス語は文字と音が一対一対応ではないので、
いろいろなタイプの回文があるということだ。
一番ビビったのがこれ(アクセント記号は省略):
Angèle et Laurent enrêlaient les gens.
(訳:アンジェルとローランが人々を徴募していた)
なんか意味わからん訳だが、要するに二人が軍隊の人集めをしていたということらしい。
まあ、それはともかく、これがなぜ回文なのか全くわからなかったが、説明を見るとどうやらこの文章を音読してそれを録音し、今度は逆回しにして再生すると全く同じことをいっているというらしい。ほんとかよ? という感じである。たぶんあたしが実験してみても絶対無理だろうから確かめる術はないが、まあそういうのならそうなのだろう。
次に、音節が前後対称というもの。これはちょっと説明しづらいのだが、異なる表記で同じ発音をすることがフランス語では多いので、これまた字面を追っただけでは回文とはわからない。たとえば:
Quand de deux maux la patrie délivre la Française, cher passé, c'est pas cher seize francs la livre des tripes à la mode de Caen.
(訳:祖国がフランス人女性をふたつの禍から開放した時――それは貴重な過去だ――カン風トリップが十六フランというのはさほど高くはなかった。)
カン風トリップとはなんかそういう名前の料理らしい。回文にするためにわざと現在形になっているが、まあ日本語に訳せば過去形だろう。これはQuandとCaenが同じ発音であるということを知らなければまあ回文とはわからないだろう。こういうのを回文として認めていいのかわからないが。
あとは、単語単位での回文もある:
Place là, de loin, les fous ; petit à petit fous-les loin de la place.
(訳:あのおかしな連中を遠くへ追っ払ってってくれ。それで少しづつその場所から奴等を(さらに)遠くへやれ。)
アクセント記号を省略しているのでわかりづらいが、ふたつ目のlaと最後からふたつ目のlaは最初の方にはアクセント記号が入るので厳密には同じではないが、それはよしとするらしい。
最後に、いわゆる回文である。いくつか:
Karine égarée rage en Irak
(道に迷ったカリーヌがイラクでブチ切れ)
A l'autel elle alla, elle le tua là !
(彼女は祭壇にいき、彼をそこで殺した。)
そして何といってもジョルジュ・ペレックだが、今のところフランス語でもっとも長い回文らしい。さすがにここには載せられないし訳せないが、リンク先の下の方に全文が載っている。どうやらギネスブックにも載っているらしいので、世界一長いのかもしれない。単語数にして1247語、文字数にするとどうやら5000を越えるらしい。まともに読んではいないが、なんか結構無理矢理な感じがする。まあこんな人も世の中に入るんだということを知ることができるのは楽しい。
というわけで、当日よろしく。