教訓(I)

Voyage au bout de la nuitを読み中。戦地から戻ってきた主人公が休暇中におかしくなったとかで入院。入院中、ちゃんと戦地に行ってもらいたい彼女(ロラ)と面会するが主人公がごねる。そこで次の引用。

適当な訳:「そんなに(戦争が)こわいの?」
「こわいどころじゃないさ、ロラ。だから、もし俺が死んでも火葬しないでほしいんだ。地面に埋めて、墓場で静かに腐らせてくれ。そうすればそのうち生き返るから…。だってそうだろ? もし燃やして灰になってしまったら、それでしまいだよ、ロラ。まあ、骸骨だったらまだ人の形をしているかもしれない。灰よりは生き返る可能性はあるな。でも灰じゃダメだ! 君はどう思うんだい? これが戦争だろ?」
(65ページ)
そのとおりだと思った。身内が死んだときに、なんで燃やすんだろうと思った。確かに腐るかもしれないが、あるのとないのとでは全然違う。殺人が犯罪である以上、遺体を管理しなければいけないのはわかる。しかし燃やす必要は必ずしもないだろう。剥製にしてもいいし、食べてもいい。燃やすって決定的だ。まさにc'est finiだ。少なくとも日本では、死を決めるのは身内でもないしまして当人でもない。医者だ。医者が勝手に死んだと決めて、勝手に葬儀屋(実際に葬儀屋かどうかはしらんが)に燃やされる。こんなことってあるかと思った。少なくとも初七日ぐらいまでは思っていた。

まあそれはともかく、上の引用のあとで彼女は「あなたって臆病者ね」的なことをいい、主人公は臆病者でも狂ってても結構とか応戦する。「生きてバカだと言われましょうよネ」って加川良かっ。