Roland BARTHES, « L'effet de réel », in Littérature et réalité, Seuil, 1982

言語がその外の現実を直接的に指し示すという幻想について。さっきのvraisemblableと関連するが、このvraisemblableは以前はréel、つまり現実と対立していた。後者は歴史の領分であった。前者は修辞学と結びついており、厳密な規則に基づいていた。したがって現実を志向するとは修辞を捨てることであり、歴史の助けを借りるということであった。その上でレアリスト達は細部を直接的に示そうとするのだが、それはBarthesによれば、signifiéの排除であり、これがillusion référentielleと彼が呼ぶものである。しかし実際に現実が直接的に示されるのではなくて、これが現実だと読者が思えるような(こういってよければ)新たな修辞が作り上げられたということである(effet de réel)。しかし彼等が試みたsigneの解体は、別の形で後の文学者に受け継がれることになる。