Evelyne GROSSMAN, La défiguration, Minuit, coll. Paradoxe, 2004

何か急遽読まなければいけなそうになってみたので読んでみた。100ページぐらいと短い。Artaud, Beckett, Michauxと順々に扱っている。Beckettを扱った章が一番よかったと思うのだが、それはBeckettが一番好きだということかもしれない。Artaudに関しては、Balthusとの絡みで論を進めているのだが、気になるのは結構いい加減に引用なり参照なりしているということだ。Omblic des limbesとノートを一緒くたにして引用してはいかんだろ。dédigurationという概念については、著者は引用していないが晩年のArtaudのテクストで重要なNotes pour Lettre aux Balinaisを念頭に入れていると思う。そこではmotilitéという概念が提出されている。motilitéとは単純に何かの形式を受け入れるのでなく、またいかなる形式も受け入れないのでもないような状態で、まあGrossmanに倣っていえば、「形象を揺り動かす」何物かだ。しかし問題なのはそのmotilitéがどの段階にあるのかということで、Artaudははっきりとそれは我々の恣意の前にある(正確に言えばmotilitéのあとに我々の恣意がある)、と言っている。このようなことをGrossmanはBeckettについての章でちょっと触れていたと思うのだが、Artaudについてはこういうことを言っていない。そういう意味で、惜しいと思う。前作のAliéné authentiqueよりはずっといいと思う。